Special Contents 白生地のなりたち

2.製糸かつて生糸で軍艦を買った時代があった

器械製糸 生糸

 蚕から繭を作る養蚕と、その繭から生糸(絹糸)をつくる製糸業をとりまとめて蚕糸業といいます。蚕糸業は明治時代、ヨーロッパで蚕の病気が蔓延したため、日本の生糸が大量に輸出され、日本の近代化を支えました。

 繭はお湯でたくことで繭糸に含まれるセリシンというニカワ質の成分が溶けだし糸がほぐれます。繭から糸を挽きだし、必要な太さにまとめられたのが生糸です。今日、海外の生糸の品質は優れたものとなり、日本の着物の材料となる生糸のほとんどが外国産となりました。大塚の白生地は、最高級の品質の生糸が使われています。

器械製糸の工程

繭の搬入計量・品質検査のためサンプル採取

乾繭かんけん125度前後から徐々に温度を下げながら5、6時間かけて乾燥させる

貯蔵品種や蚕期により繭の性質が変わるので分けて管理する

選繭せんけん繰糸に使う繭を貯蔵蔵から出し、下から光を当てて不適切な繭を取り除く

煮繭しゃけん水・湯・蒸気などで繭糸の接着を緩める

索緒さくちょ繭の表面からもつれた糸を数本引き出す

抄緒しょうちょもつれた糸から1本の糸口(正緒せいちょ)を出す

繰糸そうし糸口の出た繭を数個合わせて、目的の繊度の生糸に巻き取る

揚げ返し生糸を巻き取った小枠から、乾燥させながら大枠に巻きなおす

あみそ掛けかせ(生糸の束)の形がくずれないように別糸を編み込む

仕上げ綛をねじって留め、さらに束ねてかつという単位にまとめる

座繰りの工程

*座繰りとは、座って繭から糸をたぐりながら糸枠に巻き取ること

繭の搬入

殺蛹

貯蔵

座繰り 座繰りの様子

揚げ返し

束装