Special Contents 白生地のなりたち

4.精練真夏の運動場より過酷な作業現場

釜割 精練

生機の状態では、まだ絹糸の表面のセリシンが残り、準備工程で付着した油剤や糊剤が付いてゴワゴワした手触りが残っています。精練は生機を弱アルカリ溶液の入った釜で炊き、水洗する作業を四回繰り返すことで、絹本来の白く柔らかなちりめんに仕上げていく大事な工程です。この工程で問題があると染めムラなどを生じ、これまでの工程が無駄になります。

着尺の場合、長さは約13mにもなりますが、決して数値化することができない職人たちの経験と技術のおかげで、ムラの無い均一な精練ができるのです。

撚糸・精練ともに欠かせないのが軟らかい水と湿潤な気候です。丹後や長浜がちりめんの産地といわれる所以はそのためで、土地の風土に合った白生地ができあがります。

精練の工程

前工程

生機きばた機屋から生機が届く

釜割かまわ糸や織物の種類によって精練時間を決める工場内で一番難しく大事な工程

準備精練槽に入れた時、液通りをよくするための下準備
所定の寸法にたたみミシンで糸をかける(生地立)

竹通し均一な精練をするために、生地の種類や厚みなどで分けて竹竿に吊るす

糊抜き・水洗生地上の油分や糊分を除き、絹糸を膨潤させる前処理を行う

精練(約8時間)

荒練あらねり・水洗

本練ほんねり・水洗

漂白練ひょうはくねり・水洗

仕上げ練り

 生機にはニカワ質のセリシンや、機織工程時の油分や糊、汚れが付着している。均一な生地に仕上げるためには、弱アルカリ溶液が入った釜に、沸騰寸前の温度でたいた後水洗を行うという工程を4回行う。
 練り工程が不十分であったり、使用する水が軟水でなければ、染めたときの色むらの原因となるので重要な作業である。この工程中にシボが表れる。

精練後

水洗・脱水生地にあった脱水方法(真空管、ネット、遠心分離機)で行う。

生地立


生機を解反して巻く。
(*織物の種類により巻き方を変える)

竹通し
竹通し

生地立した耳部(生地端)にミシンで木綿糸をかけ、竹竿に通して吊り下げる。曲がっている部分(ヒダ)の液通りを注意し、練りムラにならないようにすることがポイント。(*生機に色がついているのは織場で糸の種類を区別する必要があるため)